ご挨拶

ご挨拶

「世界が注目するIRTイノベーションへの挑戦」

 少子高齢化は、社会、経済、文化などあらゆる面に影響を及ぼし、国家の基本的構造を変化させる極めて大きな課題です。こうした課題の解決には、社会制度改革や経済政策、技術開発、人材育成などの対策を積み重ねていくことが重要です。
 中でも、年々増加する高齢者の生活を支える介護サービスの充実と、労働力不足を補う生産性の向上は喫緊の課題であり、効果的な対策が急がれています。これに対し、東京大学ではロボットによる解決策に極めて高い効果が期待できることに着目し、少子高齢社会に必要とされるロボットの実用化を産学連携によって強力に推進する「東京大学IRT研究機構」を平成19年に発足いたしました。本機構に東京大学の「知」を集約し、RT(Robot Technology)とITと社会科学の融合によって、社会に受容され、人々の生活に役に立つロボットの基盤となる技術を研究開発し、企業の製品を通じて少子高齢社会の課題解決を実現するイノベーションの創出を目指していきます。
 IRT研究機構は、国内外から優秀な若手研究者を雇用し、日本のものづくりの中核を担う企業との協働によって、これまでに多くの成果をあげてきました。中でも「ホームアシスタントロボットによる掃除片付け技術」や「パーソナルモビリティによる移動支援技術」、「高齢者の思い出し支援技術」、「キッチンロボットによる食器洗い技術」などを報道発表したところ、国内の報道機関、企業、研究機関をはじめ、フランスやイギリス、アメリカ、スウェーデンからも国務大臣や国会議員が相次いで視察に訪れるなど、世界的な注目が集まっています。今後は、こうした海外の研究機関とも連携しながら、標準化や安全規格の動きとも足並みを合わせ、世界のスタンダードとなるロボットの実用化をリードする拠点へと発展させていくことを目指していきます。