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ホームアシスタントロボットによる掃除後片付けを行う技術

人が生活する環境には、人が使う様々な道具や装置が存在します。ホームアシスタントロボットはこれらを操作し家事・介護支援を行います。ここでは、家事・介護支援の基本作業として、(1)トレイに乗せた食器の運搬、(2)洗濯機への洗濯物投入、(3)ほうきを使った床掃除を選び、それぞれの要素技術の研究開発と、これらを一台のロボットで連続して実現するための要素技術を開発しました。発表するホームアシスタントロボットは、現時点では、技術要素を開発・実証するプラットフォームとしての役割であり、最終的なロボットのデザインは社会の受容やニーズをもとに今後検討して変わっていくものです。

掃除片付けを実現するための認識行動統合システムの各機能と特徴

1.環境認識機能
ホームアシスタントロボットで上記のような作業を行うには、家具や道具、洗濯物などを認識する能力が必要です。そこで我々は、ホームアシスタントロボットに一般的なセンサ構成で適用できる家具姿勢推定法と衣類発見手法を新たに開発しました。家具姿勢推定では、LRF(LaserRangeFinder)のスキャンデータと、ステレオカメラで撮影した画像データを併用し、イスのような模様の少ない物体に対しても高い姿勢推定精度で認識を可能にしました。これにより、イスを動かしたり洗濯機を操作するといった作業を実現しました。一方、衣類発見では、布が持つしわを画像特徴としてロボットに学習させることで、視覚を用いた認識を可能にしました。これにより、床やイスの上に衣類が無造作に置かれていても、これを認識して収集するような作業を実現しました。
2.行動生成機能
家具や道具などを操作するために、3次元幾何モデルを規範とした行動生成システムを構築しました。本方式では、ロボットの操作対象を三次元幾何モデルとして定義しておき、さらに操作点情報を与えておきます。ロボットは(1)の環境認識機能を用いて対象物を見つけ、そこへアプローチしながら、この操作情報を用いて自身の動作を生成します。このとき、ロボットと操作対象の間には認識や移動に伴う誤差が入り得ますが、本方式では、この誤差を解消できるよう、操作姿勢を再生成する機能を備えています。さらに、この姿勢生成の過程で、アームが自己干渉を起こさないような衝突防止機能なども搭載しています。
3.失敗検知・動作やり直し機能
人は道具や家具を操作するときに、目的の動作が問題なく遂行しているかを五感を利用して作業していますが、これはロボットにとっても必要な機能です。特に、複数の作業を連続して行いたい場合には、一箇所で失敗したからといって動作が停止しない能力を持たせる必要があります。そこで、視覚・力覚などの外界センシング情報や、計画時の姿勢と実作業時の姿勢を比較するなどして、作業状態を監視する機能を搭載しました。例えば、1布の掴み上げが成功したか、2洗濯機の開閉ボタンを押すことはできたか、3ゴミを取りやすい向きでほうきを把持できているか、などがあります。これらの作業で失敗した場合に、それを認識し、やり直し行動を生成してリトライすることで、失敗をリカバリして次々と作業をこなすための要素技術を開発しました。

ホームアシスタントロボット実験機の構成

  • ・様々な姿勢で物体に作用できる腰軸 + 双腕アーム構成
  • ・器用な物体操作を可能にする片手6自由度の多指ハンド
  • ・空間内を広く移動するための台車機構
  • ・ステレオカメラ、LRF (Laser Range Finder)、腕部力センサ等の外界センサ

(1)作業開始

(2)トレイ運搬

(3)トレイ運搬

(4)衣類発見・掴み上げ

(5)洗濯機ボタン押し

(6)ドア閉め

(7)イスどかし

(8)テーブル下掃除

(9)両手掃除