目的

3軸触覚センシング技術

物体間に働くせん断力や摩擦力の直接計測を目的として、MEMS技術を用いた3軸触覚センサの開発を行った。センサチップ内部には2本のカンチレバーと1本の両持ち梁が作りこまれており、これ1つで3軸の力を計測することが可能である。
センサチップは一辺2mm、厚さ0.8mmと非常に小さいため、フレキシブルなセンサシートの作成や曲面への実装が容易に実現できる。また、外装材の特性を選択することで、センサの感度や計測レンジを自由に設計することができる。試作した3軸触覚センサをキッチンアシストロボットに実装し、皿や茶碗、グラス等の把持 実験を行った。摩擦力を計測することで、物体の滑り易さの認識や安定な把持が可能となる。3軸触覚センサには他にも様々なアプリケーションが考えられ、靴に埋め込んで健康管理や運動指導への利用、ベッドに埋め込んで褥瘡予防、タイヤに埋め込んでスリップの事前予測と燃費の向上、などが実現できそうである。
大学での研究開発に留まらず、3軸触覚センサを広く世の中で使ってもらうために、2011年4月に東大発ベンチャー企業となるタッチエンス株式会社を設立し、センサの製造や販売を意欲的に進めている。